ヴェネズエラに入国
前回ヴェネズエラ側の国境の街サンタエレナについて、産油国で燃料のガソリンを購入したところ、期待に反して意外と高価であったことで驚いたと書いた。
この答えは次の給油の際にはっきりするので、それまでちょっとお楽しみということにしておきましょう。
アミーゴはサンタエレナの街を抜けて、いよいよグランドサバンナと呼ばれる大平原を突っ走り始めたのが、前回までだった。
いよいよ本格的なグランドサバンナの始まりだ。
グランドサヴァンナの始まり
走ること大好き人間にはたまらないシチュエーション
ここの景色でもう一つ印象に深く残っているのが、道路である。
まっすぐな道は10kmほども続くかとおもえるほど延々とつながり、緩いカーブをクリヤーするとまた同じように延々と続くといった繰り返しで行き交う車も少なく、多分1時間くらい走った記憶があるが、この間にすれ違った車は何と10台にも満たなかったのだ。
それにしても走っている車は思いっきり飛ばしているように見える。速度制限があるのやら無いのやら、標識もあまり見えないのだ。
残念(?)ながら我が愛車はトラクターのようなもの、せいぜい時速100km程度であったが、其の気持ちのよさはやっぱり直接でないと感じられない。
この感覚はジャングルで感じたのと同じ思いである。
ここに日本の(?)高性能スポーツカーでも持ち込んで走り込めたら思いっきり満足できるだろうな、、、なんて考えながら走っていた事を思い出す。
グランドサヴァンナの印象
グランドサバンナはボアビスタ郊外の景色と同じような大平原である。
だがよく見るといろいろな所がちがっている。
一つには水がない、ホライマのような湿原ではないのである。
其れから適当にアップダウンがある。此れも違う、もっと違ったのは牛や馬が一頭も見えない。
あるのは適当に散らばった椰子の木と其の中に伸びた一本の道、其れから其れから、此れぞと其の大平原の遥かかなたにいくつか散らばるテーブルマウンテン(テーブル状台地=テプィ)、此れぞ何を隠そうかの有名なギアナ高地に点在するテーブルマウンテンなのである。
我々は車を止めてゆっくりみとれる時間がなかったために、走りながらの鑑賞となったのが心残りでは有ったが、其の雄大さはまさに驚嘆物である。
其の数はまったく分からないが、道路から見えるだけでも左右に10-20個くらいがあり、うっすらと霞んで見える。
多分我々から50-100kmはなれているのだと思うが、途中を遮るものが何もなく、かすかにではあるが、其れが余計に神秘性をまして目の中に飛び込んでくるのである。
それにしてもどうしてこんな大きなテーブルがこんな所にできているのか、多いに悩ませてくれる景色であった。
検問の現実
そんな景色の中でどれほど走ったか時間を忘れそうな感覚の中、突然現実に戻されそうな光景が目に飛び込んでくる。
検問所である。
前のほうに5-6人の兵士が機関銃を肩から提げて待っている。
よく見ると別の兵士が小高い所でも見ているのだ。
・・という事は我々遥か以前から監視されていた事になる、思わずスピード違反も捕まえるのかと想像をした次第である。
この検問所の手前に必ず”DESPACIO”と書かれた標識がある。
個の標識を見たら要注意である。標識の手前ではスピードを充分に落とし、ゆっくりロンバダを超えながら検問所に入っていく。
(注:ロンバダとはスピードをおさえさせるため、道路上に作られたかまぼこ上の盛り上がり)それにしても此れだけの兵士に囲まれて機関銃を目のあたりにするのは、銃口は下を向けられていてもあまり気持ちのいいものではない。
ここの検問所は最初の検問所であるが、ここの責任者がかなりのインテリらしく(風体もインテリ風なのがにくいが)、めがねの奥から鋭い眼光がちらちらしていて、特に車両の証明書はかなりの時間をかけてつぶさにチェックしていた。
横から口出しをしようにも其れを受け付けないような風格(?)を漂わせていたのだ、実の所我々はこういう場合に手持ちしたチョコレートを渡して早く終わらせようという魂胆があったのだが、其れを言い出せない状況が彼の中にあったという事である。何とかクレームもつけられずに無事事無きを得たが、この時は未だもう一度このインテリによって、もう少しややこしい事が起こるであろう事は考える余地もなかった。
景色が一変・・山岳道路に突入
検問所を過ぎるとまもなく正面にもっこりと盛り上がった小高い山が現れる。
これからは今までのグランドサバンナと別れて山岳道路に入っていく事になる。
それにしてもどうしてこうも突然に全く異なる景色になるのか不思議で仕方がない。
この辺一体はカナイマ国立公園になっており、これから突入する山の一体は自然公園に指定されている。
この道路を走り始めて気がついた事は、”シカに注意”の看板がやけに目に付く事、其れからここの道路を走っている時はヴェネズエラにいるという思いよりも日本の日光の山でも走っているような感覚になった。
道路の曲がり具合、標識の立て方、道路周辺の造形、草の形などが実に似ている・・とはいっても、やはりここはヴェネズエラにまちがいないのだが!!
日光いろは坂のような道路をくねくねと登る事、数十分(時間の感覚が定かでないが)やがて頂上に上り詰めてきたが、登ってくるまでは雨など降っていなかったのに、頂上では雨が降っていた。
頂上では止まることなくいっきに下り始めたのだが、下り始めて暫くするとまた雨が落ちてこない。
そう!頂上付近だけに雨雲がちょこんとのっかって雨を降らしていたのである。
下り道も上りと同じような曲がりくねった道の連続、腕に自身のある人も、ない人も要注意の場所なのである。
さて下りも終わりに近づいてやがて平坦な道路になると、周辺の景色は相変わらず日本の田舎を思わせるような、道幅は狭く周りには畑のように耕した小さな土地が点在し、後は小高い山の連続が暫く続く事になる。
そんな環境の中で走り続けていた我々二人の口からどちらからともなく懐かしい歌謡曲のフレーズが飛び出していた。
お互い笑い出しながら”よし それじゃ”というわけで次から次と鼻歌風に歌ってみる、懐かしい歌を口ずさみながらの珍道中がまだまだ続く事になるのである。
正確には憶えていないのであるが、山を下りて間もなく2度目の検問所にであった。
ここの兵士達は半分冗談を言いながらのお役目で、もっていたチョコレートを手渡すと喜んでいけいけといってくれた。
とても先ほどの検問と同じ組織化の検問所とはおもえない一幕であった。
まあ!機関銃を携えていることに変わりは無いのだが!
ヴェネズエラ2度目の給油
山を下りて間もなく鉱山の町といわれるサン・イシドロの小さな町についた。
スタンドを探してガソリンを入れる事にして、道路脇に見つけた小さなガソリンスタンドに車をつけ、いつものように”ガソリン満タン”といって注文した。
いっぱいになって値段を聞いてびっくり、前回のサンタエレナの給油時の5分の1くらいの価格なのだ。此れなら水のほうが高いかもしれないと思ったものである。
店員にこの前サンタエレナで給油をしたときは、5倍くらいの支払いをしたというと、価格の違いの理由を教えてくれた。
サンタエレナは国境の町であり、ブラジル側から簡単に入国できるため、以前価格をブラジル国内価格に設定していた時大量のブラジル人がサンタエレナまできて給油する、或いはタンクで買い付けに来るなどの事態になったことから、国境の町サンタエレナはガソリンの価格をブラジルと同等の価格にしているとのこと、説明を聞いて納得した次第である。
二人ともこの説明を聞くまでは、サンタエレナのガソリンスタンドでまんまとだまされたなと思っていたのだ。
あとがき
いよいよ本格的にヴェネズエラに入って、ブラジルとの違いや日本との違い、似ているところなど環境の変化が出てきていることが旅を面白く楽しくしてくれています。
陸続きの国であっても、文化や環境は異なるところが多いのだな~と実感させられることもたくさん出てきます。
ヴェネズエラに入ったと言っても、目的のマルガリータ島まではまだまだ先が長く、この道中にも楽しいことがたくさんありましたので、この後も楽しみながら読んで頂けると嬉しいです。
最後まで読んで頂きありがとうございます。
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