この旅もこれまで予定通りに進んでおり残り2日となってきたが、最終目的はまずは無事にマナウスまで戻ることでこれ以外の何物でもありません。
我らは冒険家ではなくにわかチャレンジャーなので生活を犠牲にしてチャレンジを続けるわけにはいかないのです。
一度通った道ではあるが、時間経過とともに刻々と変化してしまうアマゾンの道は、一度通ったからと言って安心して走れる状況ではないのです。
残り2日間を無事故でマナウスに戻り切るために・・・
Canaima Pass Venezuela Crossroads
復路いざマナウスへ
いよいよ本格的な帰路に・・プエルトラクルスに別れを告げて
タイヤのパンク修理も無事に終えてプエルトラクルスの街並みを見ながら車はふたたび快調に走り出しました。
本心はプエルトラクルスの街を散策して旅の思い出作りをしたかったのだが、何しろ時間との戦いでもあり許される状況ではなかったのです。
少しでも余裕を造れるところでは時間的余裕を作っておかなければならないという焦りから、散策も断念して車を走らせることに徹したのです。
はるか先に待つであろう悪路との戦いのため、その時のための余裕づくりが最大のカギとなることを理解していました。
本日の目的地は往路でも宿泊地としたプエルトオルダスのホテル、往路の道をなぞるようにプエルトオルダスに向けてひたすら走り続けています。
この周辺の景色は特に代わり映えもしないので、往路と同じ景色を見ながらの走行です。
しかしながら厳密にいえば景色も逆方向からの視点になるので変化があるはずですが、記憶に残るような変化を認識できていないというのが本音でおおむね変化なしという状況なのです。
車も我らも何の問題もなく快調に走れている事が何にも増してうれしいということです。
プエルトオルダス到着
快調に走り続けほぼ予定通りにプエルトオルダスのホテルに到着しました。
ホテルは往路と同じホテルにしていた為、3日や4日で何事か変るわけでもなく残念ながら目新しい出来事に出会うこともありませんでした。
夕飯はやはりおいしいスペイン料理を食べたいという事になり、チェックインを済ませた我らは荷物をホテルにおいてホテル周辺の散策を始めました。
ほどなくして見つけたこぎれいなスペイン料理のレストランに入りメニューからいくつかの料理にビールも忘れずにオーダーしました。
注文して待つこと数分、初めに運ばれてきたのはやはりポラールのビール、この頃になるとポラールの味もまんざらではなくなるから不思議で人間のいい加減さを思い知った感じです。
料理は海鮮物のサラダ、スパゲッティも美味しかったが、ピザもなかなか美味しかったです。
レストランを出るとこの辺は居酒屋のようなものが見当たらない。
よく探せばあるのだろうが一晩だけでは其の元気もなくホテルに帰って寝る事にした。
プエルトオルダスを離れて検問所へ
マルガリータ島を出発し復路2日目の朝ほぼ予定通りにプエルトオルダスのホテルを出発、一路同じ景色を見ながらまずは国境の町サンタエレナを目指します。
プエルトオルダスの街並みが遠ざかっていき、その後の景色は予想通り代り映えのしない平坦な風景を見せ続けています。
この先しばらく行くとカナイマ国立公園を含む峠越えの道に入っていくのです。
平坦な景色の中をひたすら走りつづけて進んでいくと復路で最初の検問所が目の前にありました。
ここの検問所は往路の最後の検問所(同じ道なので当然だが)で、何も言わず通してくれた記憶があったが、何故か今回はちょっと様子が違っていました。
例によって機関銃を肩から下げた兵士が複数人寄ってきてその中の一人が車を脇に寄せなさいという。
一瞬たじろいだが別に後ろめたい事があるわけでもなく車を検問所脇の端に止めた後ドキュメントの提示を求められ手渡すと目を通し始めました。
しかしどうも真剣に見ている様子もなくなんとなく眺めている感じ、これはと思いまだ残っていたチョコレートと菓子を手渡すと今までの様子が突然穏やかな表情になり世間話を始めるありさま。
奥のほうにいた兵隊も出てきて一緒になって話し始めたのです。
このまま付き合っているとどんどん時間が遅れそうなので、話を適当に切り早々に出発しました。
それにしても何とも言えない兵士たちと車を走らせながら思わず笑ってしまいました。
出てくる前にヴェネズエラにはチョコレートを持っていった方がいいよとのアドヴァイスを忠実に守っておいたことが結果として安全策になったのだから滑稽です。
まさかそのようなことがと思いつつ検問所対応のチョコレートを用意してきたのだが、今までは使う機会がなかったのだ。
現実に直面しやはり効果があるものなのだと驚いた次第です。
田舎の牛肉煮込み料理
つかの間兵士との雑談を楽しんだのち時間を稼ぐべく再びちょっとスピードアップです。
しばらくの間は風景も変る様子ありませんが・・・・。
どちらからともなくお互いの腹時計が昼時間が近づいている事を告げ始めていました。
時計を見れば既に午後の1時を回っていたのでした。
もう少し先には小さな部落がありそうなので取敢えずそこまで走ろうとアクセルを踏む足にも力が入ります。
ほどなくして集落にたどり着きました。
小さな町といった感じの集落で、路地を2つ3つ曲がった所の角に取敢えず食事ができそうなランショ風の店を見つけました。
おやじさんに何ができるかと聞くと牛肉の煮込んだやつがあってこれが美味いよという。
そう言えば牛肉を煮込んだ料理というのはブラジル料理にもあるということで、味はそうは違わないだろうしそこそこいけるだろうとオーダーしてみました。
オーダーした食事が出てくるまでの時間は当然ながらビールということで、ここでもまたポラールを飲みながら雑談です。
店はオープンスペースに成っているから前をとおる車や、歩いている人たちが何故か我々を興味ありげに見ていく。
ふと気になって聞いてみると、「おまえ達は日本人か、それとも中国人か」という。
日本人だと応えると日本人を見るのは初めてだという。
海外どこに行っても割と日本人の姿は見かけるものだと感じていたので、日本人を見たことがないという地域に自分たちがいることに不思議な感覚を覚えたものです。
暫くするとおやじさんが出来上がった牛肉の煮込みとご飯をテーブルに運んできてくれました。
とろとろに煮込まれた牛煮込み料理でご飯が進む、お腹が減っていたせいもあるがそれだけではないのだろう。
食べてみると素朴な田舎料理といった感じで美味しい、ブラジルの味付けに似ていて懐かしくも思えたのです。
腹をいっぱいにして再び車にのりこむ、さていろいろ狭い路地を廻ってきたらどこからもとの道路に戻れるのかわからなくなっていました。
先ほどの店から適当に走ってきたのだが行けば行くほど深みにはまっていきそうで、仕方なくスーパーらしき店先に立って話し込んでいた娘さん2人に声をかけて道を尋ねてみました。
二人の娘さんたちは親切に指をさしながら丁寧に教えてくれました。
皆素朴で人が良さそうな人たちばかりである。
それにしてもあの娘さんたちが最後に見せてくれたあの笑顔はとてもかわいらしく大いに癒されました。
カナイマ国立公園峠越え~グランドサバンナへ
丁寧に教えてもらったことで無事に車は元の道に戻る事ができました。
暫く走ると車はカナイマ国立公園のある小高い山岳道路に入ってきました。
途中に豪快な滝の雄姿も見ることができたのはラッキーでした。
そういえばこの滝は往路でも存在していたはずなのだが気づいていなかったのだろう。
そしてこの峠を越えた先には再びただ広いだけの大草原の中の一本道に入っていきます。
そう、あのグランドサバンナへの再突入なのです。
グランドサバンナの直線道路を気持ちよく走行してしばらくすると、視界の遥か前方にまた検問所が見えてきた。
相棒は助手席でムービーカメラを動かし周辺の風景を収めていたのでした。
ムービーカメラの撮影を止めた方がいいかどうか悩んだのですが、まあ大丈夫だろうとそのまま検問所に車を進めていきました。
すると検問所の中から複数の兵士が出てきたのですが、その中の一人がなんと往路の検問の際ドキュメントを食い入るように見つめていたインテリ検査官だったのです。
そう、ここはあのインテリ検察官の居た検問所だったのです。
車を停止するや否やインテリ検査官は相棒に向かって今おまえ達は撮影をしていただろうという。
よく聞けば遥か前から既に我々の行動は望遠鏡の中に入っており、監視されていたようでした。
したがって車のなかから撮影をしながら走ってきた事も彼らにはすでに知られていたのでした。
これで待ち構えられて銃口でも向けられていたら生きた心地がしなかったことだろう。
インテリ検査官曰く「ちょっと覗かせろ」という、何も写っていないただの草原が写っているだけだと説明するも納得してもらえず、覗いてみてくれと渡すと暫く映像を確認したのちに巻き戻してそこにある池でも撮って前の記録を消すように指示してきたのです。
これには従わないわけには行かず、仕方なく20分程度池の景色だけを撮り続けこれまでに記録した画像は消去する羽目になったのでした。
実際に写っている動画は走る車から移した前方の道路や大草原の風景ばかりだったのですが、その景色そのものが機密事項だったのかもしれません。
それにしても背後には数人の兵士が機関銃を持って控えているわけで、やはりいい気持ちはしないものだという感覚をはじめて体感しました。
ムービーカメラ内に録画した映像は池の映像に置き換わり、記録を抹消したことを確認いただいて我らも開放されたのでした。
それにしても軍事設備などが写り込んでいるわけでもなかったが、この緊迫状態はいったい何なのだろうと疑問を持ちましたが、疑問が解決されることはありませんでした。
無事解放された事を喜びつつ、ふたたび大草原の一本道を気持ちのよい走りを楽しみながら疾走しつづけたのでした。
もうこの先100㎞ほども走ればブラジルに帰還です。
ブラジルへの思いを胸に抱きながら気持ちのよい走りはもうしばらく続くことになります。
まずは国境を無事に通過し、次のボアビスタまで、、、、、、気合を入れなおして走りぬこう・・と決めたのです。
出典元:面白わかる!世界遺産ユニバシティ(URL:【カナイマ国立公園(ギアナ高地)| 地球最後の秘境】世界遺産登録理由&魅力をわかりやすく解説!)
Canaima Pass Venezuela Crossroadsまとめ
マルガリータ島上陸を果たして帰路に就いた我らであるが、現時点では国境まで凡そ100㎞程度残している状況。
国境からマナウスまでは約700㎞位の距離があることを考えればまだまだ長い道のりなのです。
加えてジャングルエリア内では凡そ530㎞程が未舗装区間であることも考慮しなければならず、1日で走破することはかなり難しい状況と判断しました。
当初の計画では7日間での走破を考えていたのですが、状況から判断できるのは道中のどこかで更に一泊も考えなとならない状況であるということ。
許された休日の日程は最大8日間であり、なんとしても8日以内にはマナウスに戻らなければならないというのが第一の目標なのです。
そんなプレッシャーを抱えながらひたすらマナウスに向けて走り続けている二人です。
最後まで読んで頂きありがとうございます。

