【回想録】アマゾンジャングル走破記(1)
アマゾンジャングル走破記リライトの背景
新型コロナウィルスの問題による自粛生活もあって、いろいろ整理をした中に過去のアマゾンジャングルの走破記録が出てきた。
久しぶりに目を通すとなかなか面白い、 これはもう一度見て頂こうと回想録としてリライトすることを決めた。
1990年代半ば、南米ブラジルのアマゾン中央部に位置する大都市マナウスから、北方のベネズエラ沖に浮かぶマルガリータ島までの往復約4000KMを8日間で走破した記録である。
【回想】アマゾンジャングル走破記(1)
緑の大地を貫く赤い絨毯の道
其れは真っ青な空と緑のジャングルの鮮やかなコントラストの中に延々と続く一本の赤い道!
この道の存在を知ったのが赴任当初の94年、地図を眺めながらマナウスからヴェネズエラのマルガリータ島まで緑の大地アマゾンジャングルを貫く道がある事に気がついたのである。
車を転がす事が大好きだった僕は、何とかこの道を走破してみたい衝動に駆られ情報集めに入った。
但しこの頃のこの道に関する情報は非常に乏しく、あまり正確な情報は結局得られずに時間だけが過ぎたが、95年の9月、満を持して決行にかかった。
・・・・・と書くとかなり周到に準備され、決行したように感じられると、実際はほとんど無謀な決行であった事は隠せません。
旅の道連れ・・・いすゞアミーゴ
車は輸入車のイスズ アミーゴ(現地名で日本名はいすゞミュー、4WD車と信じて疑う事もなかったが、実際は2WD車、帰ってくるまで信じきっていた為悪路にも耐えた)、タイヤは
トラクターを彷彿させるごついブロックパターン。
ヴェネズエラに入るにはビザと車の証明書が必要で、取得のためヴェネズエラ領事館に出発予定日のぎりぎり前日に向かうというタイミングになった。
此れが物語の始まりで準備していた様式と、受け入れていた様式が違い作り直し、サインの証明から必要で取り直し、領事館の業務が午前中のみで実際には此れだけで昼近く、事情を領事館に説明すると何と総領事自ら3時頃まで待ってくれて発給をしてくれたのである。
此れで準備オッケーとマナウスを出発したのは未だ太陽が顔を見せない朝の5時、ひんやりと心地よかった事を今でも思い出す。
マナウス市内は格別書く事も無いが、道路は広く良好な滑り出し、BR-174の入り口にある検問所も難なく通過し、さあ!いよいよ「赤絨毯の道」の始まりと意気揚々と車を走らせた。
検問所を通過してからも舗装路で良好なコンディションであった道路も、10分も走らない内に赤い土をむき出しにした道路が始まった。
然しながら、この時点では此れから先約530㎞も未舗装の赤土道路が続くことに、何の感情も
感じていなかったのである。
最初の到達点はマナウスから約100km先にあるプレジデントフェゲレード、実はこの頃からこの道路の舗装工事がスタートしており、マナウスープレジデントフェゲレード間が其の真っ只中だったのだ。
其れは何を意味するかといえば、元々悪い道が工事によってより過酷な状態という事だ。
事実道路周辺には多くの工事用器材、運搬トラックが行き来し道路上には真あたらしい赤土が山と積まれ、其れを順番にならしている状態でとてもまともに走れるような状態でない事を目の前にして唖然としたのである。
然しながらここで引き返すわけにもいかず、赤い土がならべられた長い下り坂の向うでは工事のおっさんがおいでおいでと手を振っているのである。
そんなわけで大きなタイヤを半分も埋めながら強引に前に進む事にしたのだ。
前を見ればはるかとおくまで伸びる一本の赤絨毯の上を大蛇がのたくったような景色が延々と繰り返されているのだ。
それは道路上にいくつも並んだ穴ぼこを避け走り抜けた車の軌跡であった。
プレジデントフェゲレード到着
最初の到達地プレジデントフェゲレードについたのがなんと約4時間後、わずか100kmの道を走破するのに4時間もかかったという事実であり、今後も当初の走行予定時間から大きく遅れるであろう事を、既にこの時点で余儀なくされたのである。
プレジデントフェゲレードは赤土の土埃がひどいらしく、集落全体が赤埃で包まれ集落内の道路は舗装されているのだが、土埃が3~5cmも積もり掃いては取るという繰り返しで洗濯物等は表に干せず、なんとも大変な町であると感じた。
それでもプレジデントフェゲレードで一服し、ガソリンを補給して再スタートをかけた。
本格的なアマゾンジャングル走破
ひたすら同じ景色見ながら、道路の穴を避けて前に進むしかないので運転は単調そのものであるが、青い空、緑のジャングル、赤い道のコントラストという雄大な景色はやはりここにきたから感じることができたのだと思わずにはいられなかった。
特筆すべきはこの単調な走りの中でも、次々と自然のドラマが展開されていく事である。
まず驚かされたのは蝶の乱舞で、数え切れない無数の蝶が自分の周りで飛び回る様は、この世のものとはおもえない異様な光景である。

蝶たちの乱舞をうまく撮ることができなかったが、道路上の穴の水たまりのあちこちに蝶が群がり一斉に飛び立つのである。
蝶の事は詳しいわけではないので、それ以上の事は知るすべも無いが、素人にも、大いなる感動を与えてくれた。
ジャングル内の一本道を走行中にインディオの人々に遭う事がある。頭にかごの紐をかけてあるく様を見ると、ここにも貴重な生活があるのだと感じ取れた。
ガソリンスタンドは凡そ100km間隔であるために、ガソリンはほぼ確保できるのだが、稀にガソリンが無かったりもするので、ガソリンスタンド毎に満タンにしておく事は必須事項であろう。
車はとりあえず、途中でダッシュボードの中側から火を噴いた以外は良好に走りつづけた。
なぜ火を噴いたか?・・・其れはエアコンのリード線が接触不良で熱をもってついに発火となった様で、この先、この暑さでエアコン無しというわけにもいかず、止む無くダッシュボードに手を突っ込んで修理する羽目になった。
暫く安定走行していたが、ガソリンスタンドにつくたびに前輪左側のタイヤの空気が減って
いることが気になり、給油の都度空気を入れて何とか持たせた。
原因はわからないままで走行を続けたのだが、パンクの事実は後で知ることになった。
それにしてもここを走るトラックやバスのなんと頼もしい事か? 特別仕様の足回りをもち運転手を2人用意しての走行はマナウス市内のバスのイメージと変らない。
そしてこれらの車の後につこうものならまったく前が見えなくなり、危なくて思わず車を止めて暫く埃が遠のくまで待たなければならなくなる。
あらためてひどい道である事を実感させられる一瞬であった。
あとがき
ブラジルアマゾンの大地を貫く一本の赤い道に魅せられて往復約4000kmを走破した記録を、回想記としてリライトしたものですが、改めてその記憶がよみがえってきます。
今では多少環境や事情が異なっているかもしれませんが、このアマゾンジャングル走破記を読んで感じて頂けるものがあれば、とても嬉しく思います。
最後まで読んで頂きましてありがとうございます。
アマゾンジャングル走破記(2)はこちら